研究概要 |
BBBスコアが8-12となるように、中等度の胸髄挫傷によるSCIを作製する。2時間後にモルヒネ(30μg)を腰部くも膜下投与し、BBBスコアの変化を検討する。次いで、オピオイドの神経毒性がオピオイドレセプタ以外のレセプタを介した可能性があるため(Hauser et al., Frontiers in Biosci, 2005 ; 10 : 216-235)、μアゴニスト、κアゴニスト、δアゴニストの脊髄投与がSCIによる運動障害におよぼす影響を検討した。 さらにこれら各レセプタのアゴニストをSCI後3日間持続投与し,腰髄(L4)の運動ニューロンや介在ニューロンの損傷程度を形態上解析し,運動障害の悪化が運動ニューロンの損傷によるか,介在ニューロンの損傷によるか,あるいは両者によるかを解明した。 SCI作製2時間後にモルヒネを投与すると、運動麻痺は増悪し、この増悪はナロキソンで拮抗された。ついで3日間持続くも膜下投与すると(30μgbolus+3μg/hr),投与中止後も長時間運動麻痺の悪化が持続した。次いでSCI後,3日間モルヒネを持続くも膜下投与したラット腰髄(L4)をKluver-Barrera染色したが、モルヒネ投与群(Group M)で,sham群(Group Sh)やSCI+生食群(Group C)に比べ,傷害された運動ニューロンの割合には有意な差はなかった。
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