研究課題/領域番号 |
21592003
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
丸山 一男 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20181828)
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研究分担者 |
三谷 義英 三重大学, 医学部付属病院, 准教授 (60273380)
丸山 淳子 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (50263017)
張 尓泉 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30456727)
横地 歩 三重大学, 医学部付属病院, 講師 (60359768)
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キーワード | 肺高血圧 / モノクロタリン / 一酸化窒素 / トロンボモジュリン |
研究概要 |
ラットにおいて、モノクロタリン投与により、肺動脈圧上昇、右心室肥大、末梢肺動脈での血管平滑筋をもつ血管の割合、小筋性動脈での中膜肥厚が発生した。肺胞洗浄液中の好中球数および好中球の割合、タンパク濃度が上昇していた。肺胞洗浄液中および血清のTNFα、MCP-1,TAT,トロンビン活性が上昇していた。INFγ、IL-1βの上昇は認められなかった。これら結果は、モノクロタリン投与により、肺高血圧と肺高血圧血管病変が発生し、全身および肺での炎症反応と凝固系の活性を伴うことを示している。肺組織のeNOSタンパクレベルは、モノクロタリン投与後19日で有意に上昇していた。一方、リン酸化eNOS(peNOS)タンパクレベルは有意に低下していた。 NO前駆物質であるLアルギニンの投与は、肺高血圧の発症を抑制するので、NOS活性を高める物質は、肺高血圧の発症を抑制するかもしれない。トロンボモジュリン(TM)は、抗凝固作用、抗炎症作用、peNOSを高める作用を持つため、モノクロタリン肺高血圧におけるTM投与による発症抑制作用を検討した。TMは、モノクロタリン投与19日で、肺動脈圧上昇と肺高血圧血管病変の発生を部分的に抑制したが、この抑制効果は29日では消失し、予後改善効果も認められなかった。TMは、モノクロタリン投与ラットのeNOSレベルを下げたが、peNOSレベルには影響を与えなかったことから、eNOS全体に占めるpeNOSの割合を増加させると考えられる。文献的に、人でプロスタサイクリンを投与すると内因性のTMが増加し、肺高血圧の症状改善につながるという報告がある。本研究の結果からは、モノクロタリン投与ラットにおいて、外因性のTMに明らかな肺高血圧抑制効果は認められないと考えられるので、今後は内因性TMを高める操作を検討する必要がある。
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