研究概要 |
本研究の主眼は疼痛のニューロモジュレータとして機能する脳由来神経栄養因子(BDNF)のエクソンに注目し、エクソンの転写を抑制するデコイを作成し、難治性疼痛治療の基礎を確立することである。 前年度において、エクソン1について、その転写調節領域を特定し、その後他のエクソンでも特定した。これを受けDNAデコイ候補のデザインを完成し、実際に使用するデコイを決定した。さらにDNAデコイの効果を炎症性モデルでまず確認した。その結果、完全に疼痛反応を抑制することはできなかったが、コントロール群に比して有意にデコイ前投与群では疼痛反応の抑制が観察された。その結果を受け、最終段階として神経障害性疼痛モデルに対して作成したDNAデコイを脊髄内投与し、その鎮痛効果を確認する行動研究の準備を進めた。同時に神経障害性ラットにおいてDNAデコイ投与により脊髄レベルでBDNFの発現が抑制されていることを確認するための実験を平行して準備した。最終年度での研究完結に向けたスケジュールの調整もなし、安全性確認に関するデータの収集を開始した。 以上を含めた研究成果は2010年度に国際学会で発表した(Effect of Decoy ODN Inhibiting BDNF in Rat Neuropathic Pain Model : American Society of Anesthesiology, 2010 Annual Meeting, Dan Diego)。また成果を論文として作成中である。
|