平成23年度は予定していた(4)ダナパロイドのGKラットにおける治療効果の検討を行った。ダナパロイド(Danaparoid)は、虚血再灌流に伴う活性化凝固第X因子阻害による抗凝固作用ではなく、CGRPの産生を亢進する結果、血管内皮細胞からのPGI2の産生を亢進させる結果、TNF-α産生亢進を抑制し、急性腎障害を軽減するのかどうかを検討した結果、虚血再灌流+Danaparoid群において虚血再灌流による腎障害を有意に軽減した。虚血再灌流+DX9065a(活性化凝固第X因子阻害薬)群においては軽減作用を認めなかったため、ダナパロイドの抗凝固作用は腎障害の軽減と関連しないと考えられた。虚血再灌流+Iloprost(PGI2作動薬)群では腎障害は軽減された。また、虚血再灌流+Indomethacin(PGI2阻害薬)+Danaparoid群ではダナパロイドの腎障害軽減が認められない結果となった、参考文献等で予想したように、PGI2による腎障害の軽減作用が確認され、ダナパロイドはPGI2を介して腎障害を軽減する可能性を認めた。しかしながら、Iloprost(PGI2作動薬)とダナパロイドの腎障害の軽減の度合いに関しては同様の値の示すものや、Iloprost'(PGI2作動薬)の群で軽減作用が強く出たものがあり、データを解析中である。また、知覚神経→CGRP→PGI2といった経路での腎障害軽減作用をみた群では結果にばらつきがあって現在も検討中である。また、今回の大きな目的は糖尿病によって知覚神経が障害され、知覚神経→CGRP→PGI2といった経路での腎障害軽減作用が減弱するのではないかと仮説をたて、本研究を行っているが、諸事情により正常ラットでのデータを一部取り直す必要が出たため、現在正常ラットにおけるモデルでのデータを収集中である。
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