研究概要 |
(1)新しい鎮静薬であるベンゾジアゼピン誘導体のJM1232(-)に関して人血管に対する影響とラットを用いたin vivoでの循環反応に及ぼす影響に関して検討し、論文にまとめて報告した。 Effects of a novel benzodiazepine derivative, JM-1232(-),on human gastroepiploic artery in vitro. J Cardiothorac Vasc Anesth. 2011 Feb ; 25(1) : 72-7. ヒト血管平滑筋において、新しいベンゾジアゼピン誘導体のJM1232(-)は、プロポフォールやミダゾラムと同程度の血管弛緩反応を有した。ざらに、この血管弛緩反応は、ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬であるフルマゼニルによって拮抗されたことから、末梢血管にあるベンゾジアゼピン受容体を介してその弛緩反応を発現していることが明らかとなった。これまでに、末梢血管においてベンゾジアゼピン受容体を介した血管弛緩反応を確認した報告はきわめてまれであり、学術的な意義が深い研究結果である。 これら研究結果は、本年度日本麻酔科学会学術集会のシンポジウムにおいて講演を予定している。 (2)ヒトインスリン感受性を中心とした麻酔の代謝に及ぼす影響に関して、臨床研究を継続している。具体的には、肝臓切除など侵襲の大きな手術時における糖代謝をはじめとするエネルギー消費がどのように変化するのか、各種バイオマーカーを測定して検討している。最近注目されているERAS(enhanced recovery after surgery)などの概念が、手術患者の回復にどのような効果や影響が認められるのか糖代謝関連物質を測定して、観察している。これらの研究成果は、本年度中にはまとめ上げる予定としている。
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