フロンティアメディカル工学研究開発センターでは従来より通常の白色光を分光し、任意の波長の光で表示する分光内視鏡の研究を行ってきた。この技術を用い、腫瘍やその周開の粘膜の変化を抽出し、表示することができれば、経尿道的膀胱腫瘍切除の際の切除マージンの確認や、削りきれているかの判断に役に立つものと考える。現在、膀胱腫瘍周囲の粘膜における血管走行の変化の表示が可能となった。これを用い、切除前にマーキングを行うことで十分な切除範囲を確保しうるものと考えられる。一方、切除後、熱変性が加わった組織においては、切除方法がバイポーラーか、モノポーラー下、あるいはレーザーか、また電気メスの出力にも影響を受けるため、個々め症例ごとに条件が変化し、最適な表示は確立できておらず、これは来年以降の課題と考えている。 複数のソフトで作成した画像を重ねて表示するソフトを開発し、これを用いた腹腔鏡手術のナビゲーションが可能となった。その成果はJournal of Endourologyに投稿し、アクセプトされた。現在は画像め合成は2画像の合成のみであるが、さらにパノラマ画像、分光画像、術前CTの画像を重ねて表示すべく、3画像以上の合成を可能にするソフトを開発中である。一方、パノラマ画像表示ソフトはさらになめらかな動きとまたどのように重ねてパノラマ画像が表示されているかも表示することが可能となった。これにより、画像の回転を認識することが容易となったと考えている。また前立腺肥大症の手術に先立ち、立体画像にて、前立腺を表示することで排尿機能を評価する一助となるべく研究をすすめている。
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