研究概要 |
本研究は,スフェロイドという環境におけるplk2を含む発現が増強された遺伝子群の基礎的解析及び治療への応用展開を図る。1.plk2遺伝子の機能解析,2.他の抗がん剤とsiRNA(plk2)の組み合わせで,抗がん剤効果の検討,3.メチル化を含めた同遺伝子の発現機構の解析,4.臨床検体での発現解析及び臨床病理学的検討,5.他の候補遺伝子についてもsiRNAを用いて,同様の解析を行い臨床への応用展開を図ることを目的とした。本年度,plk2をノックアウトすることにより,前立腺癌細胞株のスフェロイド成長が抑制され,併用による抗がん剤の効果増強も再確認された。また,前立腺がん細胞株により,その抑制の程度は異なる事が明らかにされた。スフェロイドの抗癌剤抵抗性の獲得機構の一つとして,ATP-binding Cassette(ABC)トランスポーターの再発現が考えられる。今回,multidrug resistance-associated protein 2(MRP2)遺伝子の発現動向を解析した。単層培養に比べ,スフェロイドで同遺伝子の発現は増強し,plk2をノックアウトすることにより再び低下する事を認めた。このように,ABCトランスポーターの発現がスフェロイド形成に伴うことが明らかになった。また,同遺伝子発現の抑制はスフェロイド形成抑制あるいはplk2遺伝子発現に関連する機構によるものかは今後検討していく。
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