研究概要 |
本研究は,スフェロイドという環境におけるplk2を含む発現が増強された遺伝子群の基礎的解析及び治療への応用展開を図る。1.plk2遺伝子の機能解析,2.他の抗がん剤とsiRNA(plk2)の組み合わせで,抗がん剤効果の検討,3.メチル化を含めた同遺伝子の発現機構の解析,4.臨床検体での発現解析及び臨床病理学的検討,5.他の候補遺伝子についてもsiRNAを用いて,同様の解析を行い臨床への応用展開を図ることを目的とした。本年度,前年度のsiRNA導入試薬に細胞障害性が認められたため,異なるsiRNA導入試薬を用いた。plk2は約76%のノックダウンが確認された。plk2をノックダウンすることにより,前立腺癌細胞株のスフェロイド成長が抑制されなかったが,併用による抗がん剤の効果増強は再確認された。また,前立腺がん細胞株(LNCaPおよびDU-145)により,その抑制の程度は異なる事が明らかにされた。抑制の程度は,siRNA(plk2)濃度に依存的であった。plk2をノックダウンは肺がん細胞株A549においても同様の結果を得た。また,単層培養とスフェロイド培養の遺伝子発現比較から抽出された遺伝子群に含まれるSEPTIN6,ACPPについて同様の解析を行った。SEPTIN6では,スフェロイド成長の抑制および併用による抗がん剤の効果増強を確認した。ACPPに関しては,併用による抗がん剤の効果増強のみを確認した。
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