平成21年度においては、前立腺癌の継代培養細胞を用い、細胞内のアンドロゲン代謝に焦点を当て、アンドロゲン代謝酵素を標的とした新たな細胞内アンドロゲン抑制療法を確立を目指し、異なる前立腺癌培養細胞を培養液中のアンドロゲン環境を変化させて培養を行い、アンドロゲン受容体のmRNA発現量、前立腺細胞内アンドロゲン代謝に関連する酵素のmRNA発現量の変化を検討した。さらに、同様の培養条件での細胞内、培養液中のテストステロンとデヒドロテストステロン濃度を測定し、前立腺癌細胞内テストステロンとデヒドロテストステロン濃度変化とアンドロゲン代謝酵素mRNA発現の変化を検討し、アンドロゲン環境変化に伴う、前立腺癌細胞内のアンドロゲン細胞内分泌動態を検討した。また、一部、ウェスタンブロット法や免疫染色法を用い、前立腺癌細胞内の各酵素の発現を検討した。さらに、臨床患者におけるアンドロゲン環境の検討も行った。それらの結果から、アンドロゲン代謝においては、現在まで定説のように解釈していたアンドロゲン代謝酵素においても新たな知見が得られ、現在解析を急いでいる。人におけるアンドロゲンの、骨、血液に対する影響においても新知見を得、報告した。
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