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HGF(hepatocyte growth factor)は、組織再・修復に関与することに加え癌-間質相互作用のメディエーターとして多くの癌細胞の浸潤・転移能を亢進させる。HGFは、非活性型として分泌されHGF activator(HGFA)によって活性型となる。
HGFAは2種類のインヒビターであるHGFA inhibitor type1(HAI-1)およびtype2(HAI-2)によって特異的に制御を受けていることが知られているが、前立腺における詳細な検討を行った報告は少ない。本研究では未治療および治療抵抗性となった前立腺癌患者に対する前立腺生検の組織検体を用いて膜型HAI-1の発現を免疫組織学的に検討した。
膜型HAI-1は、前立腺腺上皮細胞で陽性に染まり間質細胞には染色されなかった。正常細胞の腺上皮や癌細胞の腺上皮で染色されたが一部の症例においては染色されない例も認めた。染色強度を陰性、弱陽性、陽性、強陽性に分類し病理組織学的因子別に比較検討を行った。その結果、生検で癌を認めなかった症例と癌を認めた症例を比較したところ癌症例で有意に発現強度は亢進していた。癌症例の検討では、その病期によって差は認めなかった。血清HAI-1との関連を検討したが膜型HAI-1と血清HAI-1の間に関連は認めなかった。去勢抵抗性となった症例の免疫組織学的検討では、未治療の転移性前立腺癌症例より膜型HAI-1の発現強度が有意に低かった。未治療前立腺癌で染色強度陰性症例は陽性症例と比較し治療後のPSA再発率が有意に高かった。
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