研究課題
転移性腎細胞癌を有する症例に対して、分子標的薬導入前後に^<11>C-acetate(AC) PET、FDG PET検査を実施して、トレーサー集積と治療効果を評価した。その結果、FDG PETでは分からないような転移性病変についてもAC PETによって描出可能な症例が存在した。また、PET撮影後に分子標的治療薬としてスニチニブを投与したところ、その治療効果に反応して、CT評価病変が縮小する症例では、PETトレーサーであるACの集積の低下を認めた。この変化は、CTによる病変縮小より早期に検出できる傾向を示していた。また、全症例でFDGとACでは集積部位や集積の程度に違いがみられることも分かった。FDG集積が低下し、サイズも縮小したもの、集積が不変または増大し、サイズも増大したものを、正しく判断できたものとみなし、FDG集積が不変または増加したがサイズが縮小したもの、FDG集積が低下したがサイズが増大したものを正しく判断できなかったものとみなした場合、一致率は50%であった。それに対して、ACの集積が低下しサイズ縮小したもの、ACもサイズも不変のものを一致とし、AC不変だがサイズが縮小、AC低下だがサイズの増大したものを不一致とみなすと、一致率は75%であった。ACは脂質代謝をターゲットとしているトレーサーであるため、分子標的薬治療によって細胞増殖能が抑制されると、細胞膜合成能の低下に伴い、ACの細胞集積も低下してゆくのではないかと考えられ、AC集積の変化が、分子標的薬治療による腫瘍組織の細胞増殖能の変化を表すことができる可能性があると考えられる。本研究の成果の一部は、2011年度の日本泌尿器科学会総会においても発表し、Nuclear Medicine and Molecular Imaging誌に掲載予定である。
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Nuclear Medicine and Molecular Imaging
巻: Volume 45(In press)