研究課題/領域番号 |
21592039
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
有馬 公伸 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10175995)
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研究分担者 |
曽我 倫久人 三重大学, 医学部付属病院, 講師 (60332714)
石井 健一朗 三重大学, 大学院・地域イノベーション学研究科, 研究員 (90397513)
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キーワード | 前立腺癌 / ストローマ細胞 / 癌間質 / TGFβ / LNCaP / 3次元培養 / テネイシンC / αSMA |
研究概要 |
本年度は、市販の正常ヒト前立腺ストローマ細胞PrSC(Lonza社)を出発材料として、TGFβにより分化誘導したTGFβ-treated PrSCと、アンドロゲン依存性ヒト前立腺癌細胞株LNCaPと共培養したLNCaP-treated PrSCの性状を比較した。 【検討1】TGFβ-treated PrSCの細胞増殖はTGFβの濃度依存的に低下したが、癌細胞と3日間、チャンバー内で共培養したLNCaP-treated PrSCの細胞増殖は有意に増加した。 【検討2】TGFβ-treated PrSCでは、コラーゲン、テネイシンC、αSMA mRNAの発現上昇を認めた。一方、LNCaP-treated PrSCではコラーゲン、テネイシンC mRNAのみが発現上昇しており、αSMA mRNAの発現量に差は認められなかった。 【検討3】良性ヒト前立腺上皮細胞由来TA2を用いたマトリゲル内での3次元培養では、LNCaP-treated PrSCの培養上清を添加することで、TA2細胞の過増殖とEMT様のdysmorphic structureを形成した。 これまで癌間質を構成する主要な細胞は、発生過程や傷の修復過程に出現するテネイシンC陽性の筋線維芽細胞と考えられてきた。しかし、本検討において、LNCaPとの共培養でPrSCが獲得した癌間質様の性状は、TGFβにより分化誘導した筋線維芽細胞様のPrSCと完全に一致しなかった。つまり、癌細胞からの刺激を受けたLNCaP-treated PrSCは正常な分化誘導で作られる筋線維芽細胞とは似て非なるもの、ということが判明した。
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