研究課題
本年度は、市販の正常ヒト前立腺ストローマ細胞PrSC(Lonza社)から癌間質細胞を作り出すことを目的とし、ヒト前立腺癌由来培養細胞株(アンドロゲン感受性LNCaPから単離したアンドロゲン低感受性の亜株E9と、ホルモン除去下で培養し、ホルモン不応性を獲得したAIDL)との共培養を施行した。【検討1】PrSCにおけるACTA2と/IGF1 mRNA発現はLNCaP,E9,AIDLすべての共培養群で発現上昇した。また、COL1A1とTNC mRNA発現はLNCaP,E9との共培養群でのみ発現上昇した。【検討2】PrSCにおけるVEGF産生はLNCaP,E9との共培養群でのみ増加した。一方、TGFβ1産生はE9との共培養群でのみ増加した。【検討3】共培養に用いたPrSCおよび各癌細胞株からのTGFβ1産生は、PrSCからの産生量に比較してLNCaPでは1/17.8量、E9では1/13.3量、AIDLでは1/6.2量と、いずれの癌細胞株もPrSCに比較してTGFβ1産生が有意に低かった。癌細胞株の中ではAIDLが最も多くTGFβ1を産生していた(E9の約2倍)。E9と共培養したPrSCにおいて、ヒト前立腺腫瘍から初代培養し得られた癌間質細胞PCaSC-8およびPCaSC-9の性状に近似した変化が確認された。癌細胞が産生し、周囲の線維芽細胞に癌間質様の分化を誘導する候補因子してTGFβ1に着目したが、E9からのTGFβ1産生が特異的に高いという結果ではなかったため、PrSCに癌間質様の分化を誘導する因子がTGFβ1以外に存在する可能性が示唆された。
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