研究課題
Cyclin D1のalternative splicingによって生じるvariant cyclin D1bの機能と癌発生における役割について解析を行った。1)膀胱特異的promoterであるuroplakin promoterおよび全組織で発現するpCAGGS promoterの下流からcyclin D1b cDNAを発現するベクターを構築し、それぞれのトランスジェニックマウス(Tgマウス)を作製しマウスの繁殖・系統維持を行った。膀胱特異的cyclin D1b発現Tgマウスでは、これまでの観察・病理解析では膀胱組織に腫瘍性病変を確認できなかった。一方、pCAGGS-cyclin D1b-Tgマウスでは、雌マウス13匹中8匹の直腸部にsessile serrated adenomaまたはadenomaなどの腫瘍性病変が発生した。この結果から、cyclin D1bはin vivoの腫瘍発生に重要な役割を果たしていることがわかった。2)WT由来MEFとpCAGGS-cyclin D1b-Tgマウス由来MEF細胞(D1b-MEF)をSV40-large T Agにより不死化し、それぞれの細胞にretrovirus vector(pBP)を用い、コントロールとRasを導入した細胞株を樹立した。MEF,Ras-MEF,D1b-MEF,D1b-Ras-MEF4種類の細胞株つき悪性形質を検討した。足場非依存性増殖はD1b-Ras-MEFのみ著明に亢進、ヌードマウスにおける造腫瘍活性はRas-MEFとD1b-Ras-MEFに確認でき、D1b-Ras-MEFの方が大きな腫瘍を形成した。細胞浸潤能は、MEF<Ras-MEF<D1b-MEF<D1b-Ras-MEFの順番であった。これらの結果から、Cyclin D1bはRasとの相互作用で悪性形質を増強すると考えられる。
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