研究課題/領域番号 |
21592044
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野々村 祝夫 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (30263263)
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研究分担者 |
高山 仁志 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50403051)
中山 雅志 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40379178)
中井 康友 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20432479)
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キーワード | 前立腺癌 / 慢性炎症 / 自然免疫 / 動物モデル / 化学発癌 |
研究概要 |
自然免疫細胞として代表的なものは、mast cellとmacrophageである。Macrophageの中には、腫瘍組織への浸潤を示すtumor-associated macrophage(TAM)やmacrophage scavenger receptor(MSR)-positive cellが含まれる。ヒトにおける疫学的な研究として、申請者らはまず、MSR-positive cellの浸潤が前立腺生検における癌の検出にも影響を与えることを示し、報告した。 本研究の主題である、「慢性炎症と自然免疫細胞の前立腺発癌過程における役割」を検討するため、まず、F344ラットにおける逆行性前立腺炎モデルを確立した。申請者らは、すでにlipopolysaccharide(LPS)の前立腺局所注射による炎症モデルを確立していたが、この方法はラットに対してかなり侵襲的かつ非生理的であるため、経尿道的な逆行性の炎症モデルを確立した。LPSを経尿道的に単回投与することで、ほぼ100%のラットに急性前立腺炎を誘発することができた。この炎症は、8週間以上存在し、慢性前立腺炎の像を呈していた。F344ラットにheterocyclic amineである2-amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]pyridine(PhIP)を20週間経口投与し、前立腺発癌を誘発し、10週間たったところで、LPSによる前立腺炎を誘起した。1年間生存したラットの前立腺を摘除し、癌の発生頻度を検討したところ、炎症を誘発したラットにおける発癌率は、コントロールとして生食を投与したラットより有意に高いことがわかった。現在、経時的に摘除した前立腺のさらなる組織学的検討を行っている。
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