研究課題/領域番号 |
21592053
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
矢尾 正祐 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (00260787)
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研究分担者 |
中井川 昇 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (00237207)
長嶋 洋治 横浜市立大学, 医学研究科, 准教授 (10217995)
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キーワード | 腎細胞癌 / 淡明細胞型 / 遺伝子発現 / 予後 |
研究概要 |
腎癌のうちもっとも頻度の高い淡明細胞型を対象に、転移と強く関連する遺伝子候補をDNAマイクロアレイ・データより粗抽出し、さらに既存のマイクロアレイ解析データおよび論文報告されている61遺伝子と比較し、予後との関連が特に強いと考えられる候補遺伝子42個を選別した。その中から上位に位置するaquaporin 1 (AQP1)遺伝子にまず注目し、qRT-PCRにより腎癌サンプル559例でその遺伝子発現値を測定した。AOP1は病理組織型別では、淡明細胞型と乳頭状腎癌で発現が有意的に高く、一方遠位系の嫌色素型、oncocytoma、集合管癌では低かった。最も頻度の高い淡明細胞型では、偶発例、小サイズ、低grade、低stage、あるいは脈管浸潤陰性群でAQP1の発現が有意に高かった。予後との関係では、全症例群での癌特異的生存、非再発生存、および進行転移症例群での癌特異的生存で、AQP1高発現が単変量・多変量解析ともに予後良好因子となっていた。術後フォローアップ期間を6カ月ごとに区切り、logistic regression解析により算出した予測値の時間依存性ROC解析(time-dependent ROC analysis)では、UCLA Integrated Staging System (UISS)スコアモデル単独よりも、これにAQP1因子を組み合わせることで、全症例群での癌死および再発予後、および転移群での癌死予後判定が全観察期間を通してより正確になることを確認しえた。
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