研究課題
膀胱癌患者(69例)と非膀胱癌患者(10例)を対象に、蛍光顕微鏡下の蛍光尿細胞診と当施設が開発した蛍光陽性細胞自動検出装置を用いて、5-aminolevulinic acid(ALA)で誘導されたprotoporphyrin IX(PpIX)特異的な蛍光陽性細胞の検出を行った。蛍光尿細胞診(69例)の陽性率は、グレード別ではG1:78%、G2:74%、G3:85%、ステージ別ではpTa:72%、pT1:77%、pTis:100%、pT2≦:92%であった。一方、従来の尿細胞診での陽性率はG1:22%、G2:85%、G3:73%、pTa:44%、pT1:46%、pTis:100%、pT2≦:100%であった。さらに、蛍光陽性細胞自動検出装置による陽性率は、G1:50%、G2:77%、G3:89%、pTa:67%、pT1:89%、pTis:100%、pT2≦:100%であった。非膀胱癌患者では、蛍光尿細胞診も蛍光陽性細胞自動検出装置も全例陰性であった。ALA誘導蛍光陽性細胞診は従来の尿細胞診に比べlow grade/stage腫瘍でも高感度で、尿中に剥離した癌(腫瘍)細胞の検出に有用であった。現在、効率的な蛍光陽性細胞検出分離を実現するため、MEMS(micro-electrical mechanical system)のフォトリソグラフィー技術(移動マスク露光法)を用いて三次元微細構造を数十ミクロン厚の厚膜レジストに作製し、フローセル・微細切替弁システムを組み込んだハイスループット蛍光細胞診断装置を作製中である。本装置により尿検体を用いたPpIX特異的蛍光陽性細胞の検出分離が可能であり、分離した蛍光陽性細胞のFGFR3、第17染色体短腕のp53遺伝子、あるいは第9染色体の欠失や変異を解析する準備を行っている。
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