研究課題
5-aminolevulinic acidで誘導されたprotoporphyrinIX(PpIX)特異的な蛍光陽性細胞自動検出装置による蛍光陽性検出を行い、尿中剥離細胞の遺伝子解析を行った(75例)。9qのLOH(ヘテロ接合性喪失)がG1:0%、G2:14%、G3:30%、Ta:20%、T1:46%、T2≦:28%であった。9pのLOHはG1:100%、G2:65%、G3:79%、Ta:71%、Tl:79%、T2≦:78%であった。また、17pのLOHはGl:0%、G2:19%、G3:59%、Ta:21%、T1:53%、T2≦:78%であった。さらに、FGFR3の変異についてはG1:0%、G2:11%、G3:7%、Ta:9%、T1:13%、T2≦:0%であった。いずれかの遺伝子異常が認められたのはG1:100%、G2:71%、G3:76%、Ta:70%、T1:80%、T2≦:78%で、従来の細胞診陽性率がG1:0%、G2:25%、G3:60%、Ta:24%、T1:63%、T2≦:61%、であったことと比較して、遺伝子変化で診断する方が、従来の細胞診判定より感度が高かった。遺伝子解析にはPCR-SSPC法以外に、パイロシークエンスを用いて解析した。また、前立腺癌患者の前立腺分泌液中剥離細胞の蛍光細胞診は、直腸診や超音波検査より感度が高く、PSAよりも特異度は高かったことから、前立腺癌のスクリーニング法としての可能性が示唆された。以上より、従来の尿細胞診では検出の難しかったlow-grade/low-stage膀胱癌も、尿中剥離細胞の光力学診断と遺伝子解析によって高感度で検出が可能である。
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