研究課題
基盤研究(C)
膀胱癌を対象とした従来の尿細胞診は、特異度は高いが、low-grade/low-stage腫瘍に対する感度が低く、スクリーニングのツールとしては満足できる検査ではない。本研究では、尿中の腫瘍細胞において蓄積した光感受性物質アミノレブリン酸によって誘導されるプロトポルフィリンIX(PpIX)の光力学反応を利用し、尿中剥離細胞から腫瘍細胞を検出する蛍光尿細胞診とPpIX特異的な蛍光陽性細胞を自動検出する装置の開発ならびに実用性の評価を行い、さらに尿中剥離細胞の膀胱癌関連遺伝子(FGFR3、p53、第9染色体)の異常を解析し、蛍光陽性細胞の分子生物学的意義を検討した。その結果、蛍光尿細胞診も蛍光陽性細胞検出装置も、従来の尿細胞診に比べlow-grade/low-stage膀胱癌患者尿から高率に蛍光陽性細胞を検出し、尿中に剥離した腫瘍細胞の検出感度を向上させた。一方、尿中剥離細胞からは高率に遺伝子異常が検出され、蛍光陽性細胞を含む検体では第9染色体欠失が最も高率に、続いてhigh-grade腫瘍ではp53遺伝子欠失、low-stage腫瘍ではFGFR3遺伝子変異の順に異常が検出された。また、尿中剥離細胞が少数の場合でも、peptide nucleic acid real-time PCR clamping法やpyrosequencingによって効率的に遺伝子異常を検出できることを確認した。現在、本システムをmicro-electro-mechanical systemsやマイクロPCRプレートを取り入れたハイスループット型マイクロ流路遺伝子診断システムに改良中であり、ワークステーションとしての高速化にも取り組んでいる。また、腹水、喀痰、血液などの体液検体を対象にした細胞診への応用の可能性も示唆された。
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