研究概要 |
腎癌の組織診断困難例において、cDNAマイクロアレイが診断確定に有用であることを以前より述べてきた。摘出標本からneedle biopsyで採取した組織のRNAを使用したマイクロアレイ解析・clusteringの結果、biopsyの小組織を使用しても組織型鑑別が可能であることを確認した。(Am J Transl Res 2009;1:55-61)更に、予後が明解な検体の結果を統合すれば、今後新たな治療方法の展開によっては術前診断困難例におけるneedle biopsyを使用した診断確定の有用性が拡大し、個々の治療に反映されると推測する。腎癌の関連遺伝子のcDNAマイクロアレイによる抽出(CIT使用により異なる特徴を持つ2群を鑑別する遺伝子を抽出し、複数の遺伝子の組み合わせによりclusteringを行い、予後関連・組織関連遺伝子を抽出する)は、(Adv Cancer Res.2003;89:157-81、Oncogene. 2003;43:6810-8、Proc Natl Acad Sci USA. 2001;98:9754-9.)をbaseにした。 また、腎癌発生に関与する遺伝子候補として、acquired renal cystic disease (ARCD)におけるepithelial junction componentのN-cadherin,Ksp-cadherin,E-cadherin,claudin-2,claudin-3の発現を免疫組織学的に評価した。これらはARCDでは正常と異なる発現を示し、更に腫瘍部ではN-cadherinとclaudin-2が散在性に発現していた。epithelial junction componentの発現がARCD発生・癌化過程に関連している可能性が示唆された。この結果は、第74回日本泌尿器科学会東部総会で発表した。また、腎癌発生に関与する遺伝子候補AKT/mTOR signalとGli 1の関与をARCDにおいて免疫組織学的に評価し、その結果を、第97回日本泌尿器科学会総会において発表した。 研究協力者Bin T.Van Andel Research Institute (Grand Rapids MI USA)マイクロアレイ・データ解析
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