腎癌の進展には新生血管が重要な役割を果たしている。腎細胞癌における血管新生抑制因子であるBrain specific angiogenesis inhibitor 1(BAI-1)の発現を、免疫染色RT-PCRにより確認した。VEGF、bFGF mRNA、p53蛋白の発現も確認した。 腎細胞癌において、BAI-1mRNAは正常部腎組織に比較して有意に減少していた。進行癌pT3-4は、早期癌pT1-2に比較して有意にBAI-1のmRNA、蛋白発現が低下していた。一方、血管密度とBAI-1蛋白発現には有意の関連性を認めなかった。また、BAI1とVEGF・bFGF mRNA発現、BAI-1とp53蛋白発現に有意な関連性は認めなかった。 BAI-1は、腎癌発生と進展において新規免疫染色マーカーとしての有効性が示唆された。(J Urol.2011;185:2353-2358)新たな診断・治療決定困難例における有用性が拡大し、個々の治療に反映されると推測する。 腎癌の関連遺伝子のcDNAマイクロアレイによる抽出(CIT使用により異なる特徴を持つ2群を鑑別する遺伝子を抽出し、複数の遺伝子の組み合わせによりclusteringを行い、予後関連・組織関連遺伝子を抽出する)は、(Adv Cancer Res.2003;89:157-81、Oncogene.2003;43:6810-8、Proc Natl Acad Sci USA.2001;98:9754-9.)をbaseにした。 研究協力者Bin T.Van Andel Research Institute(Grand Rapids MI USA)
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