研究概要 |
末期腎不全患者に高率に発症する後天性嚢胞腎ではrenal cell carcinoma(RCC)が高頻度に合併する。このようなRCCではclear cell RCC やpapillary RCC等sporadic RCCの組織型に加えacquired cystic disease (ACD)-associated RCCやclear cell papillary RCC等末期腎不全患者に特異的RCCをみるが病理組織学的鑑別が困難なことも多い。従来の報告ではα-Methylacyl CoA Racemase (AMACAR),cytokeratin-7,vinculinが鑑別に有用とされているが、多くのマーカーを用いて後天性嚢胞腎に合併したRCCの免疫組織学的特徴を明らかにした報告は殆どない。我々は上記にKit,RCC-marker,Glutathione S-Transferaseα(GST-α),Carbonic Anhydrase IX(CAIX),vimentin,PAX-2を加え、RCCを合併する後天性嚢胞腎33例を用いて免疫学的プロフィールについて検討した。ACD-associeted RCCは7/8例がvimentin陽性であったが、CAIXは発現していなかった。Papillary RCCはCK7,PAX-2を除きACD-associeted RCCと類似パターンを示した。Clear cell papillary RCCは2/3例がGST-α,CAIX,vimentin強陽性を示した。Clear cell RCCで早期転移した1例はCAIX陰性であった。KITは全例陰性であった。後天性腎嚢胞に合併したRCCは多彩な免疫組織学的プロフィールを示したが、複数のマーカーを組み合わせることで正確な鑑別診断が可能と考えられた。
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