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2011 年度 実績報告書

尿中バイオマーカーによる前立腺癌診断および再発再燃予測

研究課題

研究課題/領域番号 21592059
研究機関獨協医科大学

研究代表者

深堀 能立  獨協医科大学, 医学部, 准教授 (90199167)

キーワードバイオマーカー / 尿検査 / 前立腺癌 / 再発再燃 / 予後予測
研究概要

前年度と同様に、前立腺生検予定となった症例に対し、直腸診後の初尿を採取しRNAを抽出後cDNAを合成した。今年度は、前年度までの結果を踏まえて、前立腺癌尿中マーカーの候補としては(GAPDH,PSA,PCA3、GOLPH2、TMPRSS2-ERG、FGFR2IIIb、FGFR2IIIcを採用した。また新たにMcm5を採用し、これら標的遺伝子のPCR用primer, TaqMan probeと上述のcDNA,を用い、リアルタイム定量的PCRを実施し、各種遺伝子の発現量を定量した。各遺伝子の発現度は、発現の認められなかった場合のCt値を50とし、PSAの発現度により標準化してΔCt値とし、尿中バイオマーカー値とした。症例数は、前立腺癌群は18例、無悪性所見群は24例になった。U検定を用いて、各尿中マーカーの発現度の群間比較を行ったが、FGFR2IIIbのみ有意差(p<0.05)を認めた。昨年度有意差を認めたFGFR2IIIcについては、今年度は有意差を認めなかった。欧米においては尿沈渣中のPCA3の発現検査が有用と言われているが、我々の調査では、今回もPCA3の有用性は認められなかった。また、欧米では多いとされる融合遺伝子TMPRSS2-ERGは、癌症例で22%と少なく、本邦と欧米では前立腺癌の遺伝子的性格が異なっている可能性が考えられた。また非癌症例でも12.5%存在し、癌特異的でもないようであった。FGFR2IIIbおよび血清PSAと前立腺体積から算出したPSAD PSA F/Tについて、ROC曲線を作成し、cut off値を設定して、各種前立腺癌マーカーの感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率・正確度を算出すると、FGFR2IIIbの感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率・正確度は、71%、78%、71%、78%、および75%となり、PSA F/TをしのぎPSADに匹敵する診断率を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

尿中バイオマーカーの候補と考えられる12種の遺伝子を調査し、FGFR2IIIbについてはPSA F/TをしのぎPSADに匹敵する有用な診断率を得たので。またmRNAの増幅はできなかったが、現在の簡便な方法で尿中バイオマーカーが測定できれば、よりよいと考えられたので。

今後の研究の推進方策

今後は、さらに症例数を増やして、これまでの結果を確実なものとするとともに、さらに有用な尿中バイオマーカーの探索に努め、そろそろ発症しそうな再発再燃の調査も手がける方向で検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 前立腺癌(第2版)-基礎・臨床研究のアップデート-】臨床前立腺癌の疫学遺伝性・家族性前立腺癌の特徴2011

    • 著者名/発表者名
      深堀能立, 大竹伸明, 中田誠司, 鈴木和浩
    • 雑誌名

      日本臨床

      巻: 69 ページ: 197-202

  • [学会発表] 尿中バイオマーカーMcm5による前立腺癌診断の検討2011

    • 著者名/発表者名
      深堀能立, 神原常仁, 山崎瞳, 新井京子, 吉田謙一郎
    • 学会等名
      第76回日本泌尿器科学会東部総会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2011-10-21
  • [学会発表] 尿中バイオマーカーによる前立腺生検適応の検討2011

    • 著者名/発表者名
      深堀能立, 神原常仁, 山崎瞳, 新井京子, 吉田謙一郎
    • 学会等名
      第99回日本泌尿器科学会総会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      2011-04-22
  • [図書] がんの新しいバイオマーカー/予測因子による個別化医療時代に求められる抗がん剤開発「第9章前立腺がんにおける新しい予後予測/治療効果予測因子と今後の抗がん剤開発」2011

    • 著者名/発表者名
      深堀能立
    • 総ページ数
      365(66p)
    • 出版者
      技術情報協会

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公開日: 2013-06-26  

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