研究課題
前年度と同様に、前立腺生検予定症例に対し、直腸診後の初尿を採取し、RNAを抽出後、リアルタイム定量的PCRにより、各種遺伝子の発現量を定量した。前立腺癌尿中マーカーの候補としての各種遺伝子は、前年度までのものを用いた。各遺伝子の発現度は、発現の認められなかった場合のCt値を50とし、PSAの発現度により標準化してΔCt値とし、尿中バイオマーカー値とした。症例数は、前立腺癌群は35例、無悪性所見群は27例になった。ROC解析でAUCの比較を行うと、今回は、FGF7のAUCが最大で、特にグレーゾーン患者(血清PSA<10ng/ml)でPCA3を超えたが、有意差は認められなかった。ここで注目すべきは、FGF7の場合は発現が少ない方が担癌を示したことである。本年は、5年計画の尿中バイオマーカーの再燃予測因子としての研究の最終年にあたる。再燃予測因子としての検討は、当大学病院にて診断され、内分泌療法が行われた27例の前立腺癌症例について行った。観察期間は4-48ヶ月であった。各尿中バイオマーカーを定性的指標とした血清PSA再燃の検討はKaplan-Meier法にて行った。各尿中バイオマーカーのうち、WDR19発現低値群では無増悪生存期間が有意に短く(p<0.05)、WDR19高値群では生化学的再燃は認められなかった。PCA3、TMPRSS2-ERG、EZH2、IL-1aの高値群でも生化学的再燃が認められなかったが、有意差はなかった。WDR19 は、前立腺では正常・BPHと比べて癌で発現が高いが、組織 WDR 19 mRNA が低いと生化学的再燃や局所再発のリスクが高いといわれている。本研究では、尿中細胞の結果ではあるが、組織抽出のデータと同様の結果となり、より侵襲性の低い検査での有用性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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