研究概要 |
化学療法後の単回投与群と連続投与群が腎機能に与える影響を尿中L-FABPで検討し、単回投与群と比較して連続投与群の方が尿中L-FABPが抑えられることを確認し、化学療法後の腎障害のバイオマーカになりうる可能性を示唆した。次年度の検討が必要である。さらにヒト腎微小循環に関しては腎臓虚血状態として移植腎障害に対して造影超音波検査を行い、弓状動脈から髄質までの時間-濃度曲線から造影時間を指標として、死体腎と生体腎を比較した。その結果虚血の強い死体腎は生体腎と比較して有意に延長を認め、化学療法後の腎障害の尿中L-FABP以外の新たなバイオマーカを開発した。 今年度は化学療法腎障害モデルとしてシスプラチン腎障害モデル(7週雌Lewis rat : n=6)を対象に生理食塩水群とG-CSF 50μg/kg scを連続投与(0,6,24,48 and 72h)群を比較した。その結果投与3日目に優位に血中BUN,Crnの低下を認めた。さらにこの連続投与群(n=6)に加えて骨髄幹細胞2X107個(6h後単回尾静注)(n=6)を投与群比較したところさらに血中BUN,Crnの低下を認めた。この結果は進行性精巣腫瘍に対する大量化学療法の投与と同様G-CSF連続投与後救済末梢血幹細胞治療の腎保護作用を群間比較して動物実験で確認した。臨床においては、進行性精巣腫瘍症例の導入時期に保存した末梢血幹細胞を、救済化学療法時の骨髄抑制重篤時期に輸注し、骨髄救済のみならず腎障害を改善することをL-FABP、その他既存の尿細管機能測定検査所見から確認した。
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