研究課題/領域番号 |
21592072
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉野 能 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70324415)
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研究分担者 |
後藤 百万 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10186900)
山本 徳則 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20182636)
加藤 雅氏 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (10362229)
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キーワード | 化学療法 / 腎機能 / バイオマーカー / 腎微小循環 / シスプラチン / 幹細胞 / 分子標的治療 |
研究概要 |
これまでに化学療法が腎機能に与える影響を尿中L-FABPで検討し、単回投与群と比較して連続投与群の方が尿中L-FABPが抑えられることを確認し、化学療法後の腎障害のバイオマーカーになりうる可能性を示唆した。ヒト腎微小循環に関しては、造影超音波検査により、弓状動脈から髄質までの時間-濃度曲線から造影時間を指標とした死体腎と生体腎との比較を行った。その結果虚血の強い死体腎は生体腎と比較して有意に延長を認め、化学療法後の腎障害の尿中L-FABP以外の新たなバイオマーカーを開発した。さらに、腎腫瘍をもつ腎臓において、腫瘍部位、正常腎の時間-濃度曲線を解析し、造影時間と腎機能に関する検討を行った。がん薬物療法が腎臓に及ぼす影響について、分子標的治療後に摘出手術を行った腎がんの病理組織、治療効果の検討から臨床病理学的なバイオマーカーになりうる因子について推察した。治療薬の毒性により腎微小血流の低下を来たすが、治療効果と血流低下(微小循環障害)は関連があると考えられ、病理組織学的には血管内皮の障害により血流が低下し、腫瘍に対する治療効果を発揮していると考えられた。このことから血流低下を示すバイオマーカーが治療効果を予測し、造影超音波における時間-濃度曲線、腎障害の尿中虚血マーカーであるL-FABP、造影CTにおける造影効果などが新たなバイオマーカーになりうると示唆された。
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