(1)器官培養法をもちいたin vitro精子形成:精子形成にはそれをサポートする周囲の体細胞が必須であることから、in vitro精子形成にも生殖細胞とそれらの周囲の体細胞を元来の関係性を保ちながら培養できる器官培養が有利である。本研究では主として器官培養法をもちいて生後間もないマウス精巣組織片を気体-液体界面において培養した。また精子形成の進行をモニターするために減数分裂特異的にGFPを発現するトランスジェニックマウスを用いた。さまざまな培養条件を検討した結果、温度は34℃、培養液はαMEM+10%FBSがベストであることが判明した。そのような条件での培養の結果、マウスの精原細胞は減数分裂を完了し、半数体の精子細胞に分化することを確認した。その成果を学術誌に発表した。 (2)皮下での精細管再構成による精子形成:精巣外での精子形成には皮下で精細管を再構成する方法がるが、その効率が低いことが問題であった。今回の検討では、再構成に用いる細胞を生後間もない時期の精巣と、胎児期の精巣の2種類を用意し、これらの精細管再構成能とそこに培養精子幹細胞を加えて、精子形成を誘導することにより、評価した。その結果、胎仔期精巣のほうが、精子形成誘導能に優れていることが示唆されるデータを得た。
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