研究課題/領域番号 |
21592089
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢野 哲 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90251264)
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研究分担者 |
中川 俊介 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (70270874)
平池 修 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20529060)
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キーワード | エストロゲン受容体 / エストロゲン受容体α / エストロゲン受容体β / 乳癌 / ホルモン依存性腫瘍 / 癌抑制遺伝子 / DBC1 |
研究概要 |
【目的】DBC1は乳癌において欠損しているゲノム領域から同定された、細胞死促進因子である。ERはエストロゲン依存的転写活性化能を有し、ERαは細胞増殖促進的に作用し、ERβは細胞増殖抑制的に作用する。DBC1はERαの発現量調節に関与しているが、我々はERβとDBC1が結合することを見出し、その相互作用についての機能解析を行った。【方法】ERαおよびERβとDBC1のタンパク間結合は、GST pull down法、免疫沈降法、および蛍光免疫染色法により検討した。ERの転写活性化能を、ルシフェラーゼ活性の測定により検討した。細胞のアポトーシス誘導能に関してはFACS解析により検討した。 【成績】1)ERα、ERβとDBC1は、乳癌細胞株T47Dの核内においてエストロゲン非依存的に複合体を形成していた。2)ERαのC末端、ERβのN末端およびC末端とDBC1のN末端が結合し、結合様式はERのサブタイプにより異なることがわかった。3)ERβの転写活性化能はDBC1の共発現により抑制されたが、siRNAによるDBC1のノックダウンによりERβの転写活性化能抑制は解除された。一方、ERαの転写活性化能はDBC1の共発現により抑制されなかった。4)乳癌細胞株MDA-MB-231において、siRNAによるDBC1のノックダウンによりアポトーシスは抑制されたが、ERβ特異的リガンドであるDPN処理によりアポトーシスが逆に促進された。 【結論】DBC1はERβと核内で複合体を形成し、ERβの転写活性化能を阻害することにより、転写抑制因子として作用することが示された。乳腺や卵巣といったERβ含有組織において、DBC1がERβの転写活性に抑制的に作用することにより、ホルモン依存性腫瘍発症抑制に関与する可能性が示唆された。
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