研究課題/領域番号 |
21592105
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
福島 明宗 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (20208937)
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研究分担者 |
中居 賢司 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (90146035)
小林 宏一郎 岩手大学, 工学部, 准教授 (60277233)
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キーワード | 胎児心磁図 / 胎児心拍変動 / 胎児中枢神経活動 / 胎教 |
研究概要 |
【目的】胎教の効果に関して母体および胎児の自律神経活動の変化より医学的な解析を行った。【対象】56例の正常妊婦ボランティア【方法】母体および胎児の自律神経活動の計測は、岩手医科大学に設置されている64チャンネルMCGを用いて、時間領域解析であるcoefficient of variance (CV_<RR>)と周波数領域解析(高周波領域HF:0.15-0.40Hz、低周波領域LF:0.04-0.15Hz)を分析することで行った。各被験者を、胎教に良いと言われるモーツアルト音楽を聴取させ精神的安定を保った状態と暗算という精神的負荷をかけた状態の二種類の条件下におき、母体および胎児の自律神経活動の状況を解析した。1症例あたりの測定時間は母体の負担を鑑みてトータル10~15分間とし、5分間連続測定を2~3回施行して胎児心拍700拍分の胎児心拍および同時間内の母体心拍を分析した。【結果】今年度はまず正常胎児における自律神経活動の発達状況を分析した。主に副交感神経活動を示すといわれるCV_RRは妊娠週数の経過に従って緩やかな増加傾向を示すが、妊娠3群(28-31週群、32-35週群、36-40週群)の間には有意な変化を認めなかった。一方交感神経活動あるいは交感・副交感神経活動のバランスを示すといわれるLF/HFでは、妊娠週数の経過に従って増加傾向を示し、妊娠3群(28-31週群、32-35週群、36-40週群)の比較においても妊娠36-40週は他群に比較して有意に増加していた。【結論】今回の研究から、胎児は妊娠後期において交感神経系が有意に発達してくることが明らかとなったが、これは出産に向けての準備として考えた場合、きわめて合目的であると思われる。以上の結果を胎児の自律神経活動の標準的な成長発達過程の指標として用いていくことで、次年度より解析予定の胎教に関する母児相関の正確な分析に役立てていくことが可能であると考えられる。
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