平成19年度の科学研究費補助金によって作成されたH1fooノックアウトマウスを引き続き使用し、バッククロスマウスの作成、および、遺伝子型、表原型の解析をおこなった。最初にバッククロスについてはC57/BL6マウスを掛け合わせることで、8世代目までのバッククロスが完成された。さらに表原型を解析するためにヘテロマウス同士を掛け合わせてホモマウスを作成し、さらにホモマウスが致死性かどうかを長期間にわたって観察した。産仔数の雄雌の比に特に差異は認められなかった。さらに長期間のホモマウスの飼育においても特に寿命に差はみとめられなかった。また、ホモマウス同士での交配を行ったところ、ホモマウスが出産された。雌のホモマウスとヘテロマウスのでの産仔数を比較検討したところ、ホモマウスにおいて産仔数が減少する傾向が認められた。また、実際に雌ホモマウスにおいては、育児放棄による食殺を行うことが多いためその原因と誘因について検討中である。現在、加齢変化との検討を行うために加齢ホモマウスの卵巣を摘出し、組織切片上の変化について検討を加えているところである。一方、ヒトの体外受精不成功例でのH1FOOの発現パターンを検討したところ、精子の膨化が認められないものの中にH1FOOが取り込まれていないものと取り込まれていないものが存在することが証明され、ヒトにおける体外受精不成功例においてもH1FOOの取り込みによる差異が認められることが明らかとなった。
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