胎児治療はこれまでも侵襲的な治療から低侵襲治療に向けて検討され実施されてきた。最近では胎児鏡を用いたものやラジオ波を用いた低侵襲治療が行われているが、これらでさえ子宮内に医療器具を挿入しなければならない。従って破水や流早産が治療効果そのものの効果による周産期予後の律速になっている現状がある。そこで我々はHIFUを用いる事で子宮内に一切医療器具を挿入する事なく治療を行う事を目的として研究して来た。これまで動物実験である種の疾患に対してHIFUを用いて治療可能な事を証明して来た。昨年度は作成した治療用HIFUトランスデュサーと画像用プローブを一体型させた治療を用いた基礎実験を行い、HIFUの実際の焦点とモニタ表示されるターゲットポイントにずれが生じる事が判明した。そこで、今年度はHIFUファントムを用いてアライメントの微調整おこなった。その結果、HIFU焦点と画像上のターゲットポイントがほぼ一致することに成功した。そこで実際のTRAP sequence症例に対してHIFU照射を行った。母体に副作用なく胎児に変性を起こす事は2症例とも確認できたが血流遮断には至らなかった。考察として実際の臨床では組織にる超音波の減衰と焦点距離の不足が考えられた。今後はこの点を改良すべくHIFUトランスデュサーの作成が必要である事が分かった。これさえクリアすれば成功に導ける可能性が高いと考えられた。
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