1.早発閉経患者の血清では何らかの自己抗体が検出されることが多く、早発閉経の発症に自己免疫が関与している可能性がある。一方、生後3日以内に胸腺を除去した雌マウスでは卵巣を含む様々な器官に対する自己抗体が産生されること等から、自己免疫疾患の動物モデルとして知られている。そこで、3日齢で胸腺を除去した雌マウスの卵巣機能を検討した。その結果、上記の胸腺除去によって卵胞発育の停止、卵母細胞と顆粒膜細胞のアポートシスが促進されることが確認された。加えて、卵母細胞と顆粒膜細胞に対する自己抗体が検出された。また、2D-western blot法により、卵巣抗原の特定を試みた。 2.血清anti-Mullerian hormone(AMH)濃度から卵胞発育を推定することができると考えられている。本研究では早発閉経女性と卵巣機能が正常な女性の血清AMH濃度を比較した。その結果、早発閉経女性の血清AMH濃度は卵巣機能が正常な女性よりも有意に低いことを明らかにした。 3.ラットの卵母細胞でneurofilament heavy chainが発現していることと、このタンパク質がリン酸化されると、卵母細胞が変性することを明らかにした。 4.ラット卵巣でenolase1が発現していることと、この発現が生殖腺刺激ホルモンによって高まるこを明らかにした。 5。14日齢マウスの卵巣から初期二次卵胞を単離した後、単一で培養し、その培養条件を検討することによって、高率で胞状卵胞まで発育させる方法を確立した。次に卵胞発育・成熟に対するアンドロゲンの影響を調べた。その結果、アンドロゲンの作用で卵母細胞の形態異常、growth and differentiation factor 9発現の異常、紡錘体形成不全が誘起されることを明らかにした。
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