研究課題/領域番号 |
21592117
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
山下 能毅 大阪医科大学, 医学部, 講師 (50268207)
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研究分担者 |
大道 正英 大阪医科大学, 医学部, 教授 (10283764)
寺井 義人 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90278531)
田辺 晃子 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70454543)
林 篤史 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80411338)
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キーワード | ミトコンドリア / 不妊症 / 顆粒膜細胞 / 抗ミュラー管ホルモン(AMH) / AMHレセプタ / 一塩基多型(SNP) |
研究概要 |
研究目的1:生殖補助医療の発展と晩婚化により体外受精により年間約1万人の出生児が誕生しているが、胚移植の周期あたりの妊娠率は30%弱にとどまっており、妊娠率向上のために更なる研究が必要とされている。特に、35歳以上の高齢不妊患者における顆粒膜細胞のmtDNAの点変異や欠損が報告されており、ミトコンドリア異常と不妊症との関連性が注目されつつある。体外受精治療時に採取された顆粒膜細胞におけるmtDNAの発現について、Real time PCR法で定量し、mtDNAの発現が加齢により影響を受けるかまた、卵胞発育および胚発育にどのように関与するかを検討する。また、ミトコンドリア病の原因として、全長の約三分の一に相当する4696塩基対の欠失が報告されているが、この欠失が高齢不妊症において胚の発育を阻害するかを証明する。結果1:顆粒膜細胞におけるミトコンドリアの4696塩基対の欠失やmtDNAの発現と加齢および卵成熟との相関性は明らかとならなかった。研究目的2:近年卵巣機能の予備能として抗ミュラ-管ホルモン(AMH)が期待されており、血清AMH濃度は加齢とともに減少し、胞状卵胞数と年齢と良く相関することが報告されているが、AMH-塩基多型(SNP)の高齢不妊などの不妊因子としての関与は不明な点が多い。我々は不妊患者のリンパ球から得られたgenomic DNAにおけるAMHおよびAMHレセプター(AMHRII-482A>G、AMHRII IVSl+149 T>A、ISV5-6C>T、)の4つのSNPについて、不妊症における各SNPの発現率を検討し、また加齢による影響について検討した。結果2;疾患群の変異ホモのアレルの頻度はAMH(GIT)のTアレル(15.3%)、AMHII-482A>G(A/G)のGアレル(7.6%)、Ivsl+149T>A(A/T)のTアレル(0%)、Isv 5-6c>T(C/T)のTアレル(7.7%)で、それぞれコントロール群とは有意差は認めなかったが、AMHRII-482A>G、AMHRII IVSl+149T>A、ISV 5-6C>Tの変異ホモはコントロール群で認められなかった。以上より、AMHR(AMHRII-482A>G、AMHRII IVSl+149T>A、ISV 5-6C>T)のSNPは不妊症の発生に関与している可能性が示唆された。現在、自然妊娠妊婦のgenomic DNAをコントロールとして検討するため学内倫理委員会に申請中である。
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