研究概要 |
子宮体部漿液性腺癌に関連するマイクロRNA(miRNA)を明らかにするために、まずmiRNAマイクロアレイ解析を行った。対象は正常子宮内膜組織7例(増殖期4例、分泌期3例)、類内膜腺癌20例、漿液性腺癌21例である。正常内膜組織と比較し漿液性腺癌で発現の増減がみられたmiRNAは120個あった。このうち、2倍以上の発現の低下が認められたmiRNAは54個あり、このなかにはmiR-101,miR-10^*,miR-152,miR-29bが含まれていた。それ以外は正常内膜と比較して2倍以上の発現の上昇が認められ、このなかにはmir-200a,miR-200b,miR-205があった。発現の増減を確認するためリアルタイムRT-PCRを行った。その結果、正常内膜と比較してmiR-101,miR-10b^*,miR-133a,miR-133b,miR-152,miR-29b,miR-34b,miR-411の発現が低下していることが確認された。また、miR-205では、漿液性腺癌において発現が増加していることが確認された。漿液性腺癌における臨床病理学的因子との相関を確認したところ、miRNA-101,miR-10b^*,miR-139-5p,miR-152,miR-29b,miR-455-5pの発現低下と全生存率の低下には統計学的有意差を認めた。また、miR-10b^*,miR-29b,miR-455-5pの発現と脈管侵襲の有無と統計学的有意差をもって相関していた。漿液性腺癌細胞株SPAC-1-LにmiRNA-101、miR-152を導入したところ癌細胞の増殖抑制が確認された。
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