研究課題/領域番号 |
21592120
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永瀬 智 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00292326)
|
研究分担者 |
大槻 健郎 東北大学, 病院, 助教 (40531330)
岡本 聡 東北大学, 病院, 臨床検査技師 (40420020)
|
キーワード | 子宮体癌 / 子宮体部漿液性腺癌 / 類内膜腺癌 / マイクロRNA / 標的遺伝子 |
研究概要 |
昨年度までの研究により、子宮体部漿液性腺癌で特異的に発現の異常が認められたマイクロRNA(miRNA-34b)を抽出した。これらなかで、miR-34bに焦点をあて次の解析を行った。本研究に用いた対象は、類内膜腺癌由来細胞株のIshikawa、RL-95-2および子宮内膜漿液性腺癌由来細胞株のSPAC-1-Lと臨床検体41例(類内膜腺癌20例、漿液性腺癌21例)である。正常内膜組織と比較し、漿液性腺癌において特異的にmiR-34bの発現低下が認められた(P=0.002)。子宮体部漿液性腺癌とp53の関連は以前から知られているため、p53の発現とmiR-34bの関連を免疫染色により解析したが、p53の過剰発現群においてはmiR-34bの発現が低下している傾向にあった。次に、miR-34bが癌の進展などにどのような機能を有するかについて解析を行った。子宮体部漿液性腺癌由来の細胞株に対するmiR-34bの導入により、細胞増殖能(P<0.01)、遊走能(P<0.01)および浸潤能の抑制(P<0.001)、カスパーゼ活性の上昇(P<0.05)を認め、漿液性腺癌においてmiR-34bは細胞増殖および進展を抑制する働きを担い、癌抑制的に働いている可能性が示唆された。miR-34bの標的遺伝子候補であるMETとの関連では、miR-34bの細胞株への導入によりMETタンパク発現の減弱が認められた。このことから、miR-34bがMET遺伝子の発現を抑制的に調節している可能性が示唆された。これまでの研究によりMETと子宮体部漿液性腺癌の関連が認められたことから、miR-34bおよびMET阻害剤が新規治療薬候補として抽出され、今後その臨床応用にむけ基礎研究を行っている。
|