研究課題
これまでの研究により、子宮体部漿液性腺癌(UPSC)でmiR-34b、miR-101、miR-154の特異的な発現低下を明らかにした。miR-101の細胞内における働きを解明するために、UPSC細胞株USPC-1にmiR-101を導入し、増殖能、遊走能、浸潤能について検討した。WST-assayで解析した増殖能が、miR-101導入後5日目において、63.6%の有意な増殖能の低下を認めた。さらに、足場非依存性増殖能についても検討したが、二つの細胞株において著名な増殖抑制が確認された。遊走能および浸潤能については、それぞれ28.6%、77.8%と有意な抑制が認められた。以上から、miR-101がUPSCにおいて増殖能・遊走能・浸潤能を制御していることが明らかとなった。miR-101の標的遺伝子候補であるEZH2との関連では、miR-101の導入によりEZH2タンパクの発現が減弱することが確認され、miR-101がEZH2遺伝子の発現を抑制的に調節していることが示唆された。UPSCにおいては、miR-101が減少することによって、癌遺伝子の働きをするターゲット遺伝子への抑制が弱まり、癌が進展する可能性が示唆された。次に、臨床への応用を念頭に置き、miR-101導入による薬剤感受性の変化について検討した。細胞株USPC-1、SPAC1-LにmiR-101を導入したところ、USPC-1においてシスプラチンとパクリタキセルの薬剤感受性が上昇した。また、SPAC1-Lへの導入では、二つの薬剤に加えアドリアマイシンめ感受性が上昇することが明らかとなった。この研究により、miR-101やEZH2阻害剤が予後不良なUPSCに対する新規治療薬の候補であることが明らかとなった。
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International Journal of Cancer
巻: (Epud ahead of print)