本年度は子宮体癌培養細胞株に対するメトホルミンの効果を検証した。 1)子宮体癌培養細胞株Ishikawa株・HEC1B株をDMEM培地(10%FBS)で培養し、メトホルミン(5-10nM)添加後の細胞増殖抑制効果をWST-1法で濃度・時間依存性に解析した。2)Western Blotting法でメトホルミン添加後の細胞周期蛋白・ERK経路・AMPK-mTOR経路関連タンパクの発現を解析した。3)メトホルミン添加後の細胞周期をフローサイトメトリーで解析した。 (成績)Ishikawa株、HECIB株ともメトホルミンの濃度依存性・時間依存性に細胞増殖抑制が確認された。メトホルミン添加により、cyclin D1発現低下・p27発現亢進・phospho Rb発現低下を認めた。フローサイトメトリー解析の結果から、増殖抑制機序としてG1停止が考えられた。さらにAMPK発現亢進・phospho S6K1発現低下のほかにphospho ERK 1/2の発現低下も認め、メトホルミンはAMPK-m TOR経路以外にMAPK経路を介して作用していると考えられた。 (結論)子宮体癌培養細胞株に対しメトホルミンの細胞増殖抑制効果が確認された。メトホルミンはG1停止を起こすが、その機序としてAMPK活性化によるmTOR抑制以外に、MAPK経路抑制が関与していると考えられる。
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