研究概要 |
本年度は子宮体癌培養細胞株に対するメトホルミンの作用機序を検討するとともに、子宮体癌患者に対する効果を調べた。 1) 子宮体癌培養細胞株Ishikawa株をAMPKα si RNAで抑制し、AMPK-mTOR経路関連タンパクの発現、増殖抑制効果を検討した。 2) 子宮体癌手術予定で、同意の得られた患者の手術待機中にメトホルミンを投与。投与前後の組織を採取し、AMPK-mTOR経路関連タンパク,細胞周期蛋白の変化をウエスタンブロット法で検討、免疫染色にてリン酸化S6,リン酸化ERK1/2の発現の変化を検討した。 (成績)AMPK抑制にて、メトホルミンの増殖抑制効果が減弱したが、完全に抑制されなかった。 AMPK抑制により、メトホルミンによるS6K1の脱リン酸化は解除されたが、cyclinD,Rb、ERKは抑制された。 子宮体癌患者でも、培養細胞株と同様のシグナルの変化が確認された。免疫染色の結果、投与前後でERK1/2・S6のリン酸化が減弱していた。 (結論)メトホルミンの作用機序はAMPKを介する系と、AMPKを介さない細胞周期蛋白の制御が示唆された。子宮体癌患者への短期間の投与で、メトホルミンの効果が確認された。
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