通常PET検査でがん診断を行う際は、フルオロデオキシグルコース(FDG)というブドウ糖の類似体に放射性フッ素(F-18)を付加したPET薬剤を用い、がん細胞で活発になるブドウ糖代謝活性を検出します。しかし、子宮肉腫ではブドウ糖代謝が活発になるものの、良性筋腫の代謝活性は様々で、高い代謝活性を示すものもあるため、従来のFDG-PET検査のみでの診断は困難でした。そこで私たちは、子宮肉腫には女性ホルモンの作用部位である正常なエストロゲン受容体が少ないという基礎検討に基づき、フルオロエストラジオ-ル(FES)と呼ばれる女性ホルモン(17β-エストラジオール)にF-18を付加したPET薬剤を用いるFES-PET検査を、FDG-PET検査に追加すると、手術前に子宮筋腫と肉腫の鑑別診断を正確に行える、という仮説を立て検討したところ、90%以上の正診率で鑑別ができることを確認しました。
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