申請者らは、子宮肉腫の新規治療法の開発に向けて、子宮肉腫の腫瘍形成能に直接関与するLMP2の発現を主眼として、癌微小環境への生物学的応答について検討している。 ヒト子宮平滑筋肉腫(子宮肉腫)の特長、(1)血行性転移能が極めて高いが、リンパ行性転移は認められない、(2)他の婦人科腫瘍と異なりエストロジェン受容体(ERα)の発現が消失する。そこで、申請者らは、癌微小環境でのヒト子宮肉腫の特性、血管新生能について検討を行っている。具体的には、遺伝子プロファイリングの結果をもとに、ヒト子宮肉腫の微小環境特有に発現している遺伝子産物の解析を行っている。 その結果、LMP2の発現低下が認められるヒト子宮肉腫培養細胞(SKN)において、LMP2を恒常的に発現させることにより、SKN細胞からの高濃度で分泌されているVEGF-Aの産生が有意に低下されることが明らかとされた。本研科学究費補助金によって得られた研究成果は、日本癌学会学術総会シンポジウム、国際がん会議シンポジウム(シンガポール)、さらに、学術専門雑誌などで報告された。
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