研究概要 |
本年度は、タキソールの取り込みに関与するとされる、OATP8遺伝子(Nature 81, 76-82, 2007 ; Smith NF)の機能を解析する目的で、レンチウイルスシステムで各種婦人科癌細胞株に同遺伝子を導入し、タキソールの取り込み量の経時的変化、抗細胞傷害性の変化を検討することとした。ヒトOATP8遺伝子は東北大学薬学部教室から供与を受けている。さて、h-TERTプロモーターでドライブするOATP8発現レンチウイルスは、Mission Lentiviral Packaging Mix (Sigma)を使用し、作製中である。現在レンチウイルス作製のためのプラスミドDNAのコンストラクションが終了したところである。OATP8発現評価については、各種市販の抗体を検討した。HEK293T細胞とそのOATP8-stable transfectantを用いWestern blot法にて発現比較したところ、明確な特異バンドが得られなかった。このように免疫組織染色、Western blot法に適した抗体がなかったため、海外のLab.より送付検討することとなっている。代替の発現評価方法として、realtime-RT-PCRの系を確立した。これまでの検討によると、HEK293T-OATP8, HeLaにおいてOATP8発現が高いことが判明しており、低発現株にOATP8発現レンチウイルスを感染させることにより、抗細胞傷害性の変化を検討したい。また、HEK293T-OATP8にOATP8siRNAで処理した場合、推定OATP8のバンドの経時的減弱とタキソールに対する薬剤感受性の低下は確認してある。
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