本年度は、yolk sac tumorの患者から樹立した細胞株NOY1を、FACSを用いてCD133陽性細胞群、CD133陰性細胞群に分け、これらの細胞群間における遺伝子発現プロファイルの違いについてマイクロアレイ法を用いて検討を行った。mRNAの発現が2倍以上亢進していた遺伝子は296個あり、主なものはALDH(aldehyde dehydrogenase)、BMP5、FGFR(fibroblast growth factor receptor)、CCL20、MMP1、MMP24などであった。一方で発現が0.5倍以下に低下していた遺伝しは212個あり、主なものはADMA19、IGFBP(insulin-like growth factor binding protein)、IL-11などであった。 また、タキソールの取り込みに関与するとされるOATP8遺伝子における機能解析の目的で、レンチウイルスシステムで各種婦人科細胞株に同遺伝子を導入し、タキソール取り込み量の経時的変化、抗細胞障害性の変化を検討した。レンチウイルス作製のためのプラスミドDNAコンストラクションが終了したところである。OATP8発現評価については、各種市販の抗体を検討し、HEK293T細胞とのOATP8-stable transfectantを用いWestern blot法にて発現を比較したところ、明確な特異バンドが得られなかったため、現在、適した抗体を検討中である。代替の発現評価方法として、realtime-RT-PCRを用いて検討した。HEK293T OATP8、Hela細胞株においてOATP8発現が高いことが判明した。OATP8低発現細胞株にOATP8発現レンチウイルスを感染させることによる抗細胞障害性の変化を現在検討している。
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