研究課題
基盤研究(C)
最近提唱されたMetronomic chemotherapyは血管内皮細胞が少量の抗癌剤でも再現性良く障害されることを利用して、薬剤耐性腫瘍に抗癌剤を少量頻回投与することで軽い副作用のままtumor dormancyに導こうという治療法である。今回我々はこのMetronomic chemotherapyの婦人科がんに対する有効性を検証するため、動物実験と臨床試験を行った。パクリタキセル耐性ヒト卵巣がん細胞株を担癌させたマウスをパクリタキセル少量分割投与群と高量単回投与群で治療したところ、少量分割投与の方が腫瘍の増殖速度を抑制した。毒性も少量分割投与の方が明らかに軽度であった。すなわち薬剤耐性腫瘍に対して、Metronomic chemotherapyは軽度の副作用にも関わらず腫瘍の増殖をより抑制しうると考えられた。この理由として、パクリタキセル高量単回投与より少量分割投与の方がより血管新生を抑制していることがマトリゲルに侵入する新生血管数の評価実験からわかった。これはドセタキセルやイリノテカンなど、他の抗癌剤でも同様であった。Metronomic chemotherapy理論に基づき、個別化最大継続可能量(iMRD : individualized maximum repeatable dose)で抗癌剤を少量頻回投与するがん休眠療法の臨床試験をおこなった。IRB承認のもと現在まで、難治性の再発卵巣がん42例と子宮頸がん29例に対して試み、良好なQOLと共に比較的良好な進行抑制期間(TTP:time to progression)が得られた。まだ症例が少なく経過観察期間も短いがMetronomic chemotherapyによるがん休眠療法の有効性が示唆された。
すべて 2011 2010 2009
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件)
Histopathology
巻: 58(3) ページ: 423-432
Oncol Rep
巻: 24(6) ページ: 1569-1576
Cancer Sci
巻: 101(6) ページ: 1387-1395
Int J Gynecol Cancer
巻: 19(5) ページ: 838-843