研究概要 |
われわれがヒト胎盤cDNAライブラリーよりクローニングしたpolo like kinase (PLK)は、細胞分裂時の微小管形成に必須で、いわゆる細胞周期調節蛋白である(Hamanaka et al, 1995)。われわれは、ヒト胎盤(Yoshimatsu et al, 1999)、マウス胎盤(Takai et al, 1999)、ヒト正常子宮内膜(Takai et al, 2000)、子宮体癌(Takai et al, 2001)、卵巣癌(Takai et al, 2001)でのPLKの発現や機能を報告し、特にPLKの婦人科癌における発現がその病理組織学的予後因子と有意に相関していることを報告した(Takai et al, Oncogene, 2005)。PLKはG2/M期に最も強く発現し、cdc2/cyclin B1のリン酸化を活性化したり、cdc25やcdc27も活性化させる。また細胞分裂の終息に関与するAPC (anaphase-promoting complex)も標的としている(Takai et al, 2008)。 これまでわれわれは、PLKが婦人科癌治療の分子標的となるかどうかを検討するため、PLKの発現を抑制するβ-hydroxyisovalerylshikonin (β-HIVS)と、PLKの発現は変化させずにPLKの機能を阻害するscytoneminの婦人科癌に対する作用についてin vitro,in vivoで検討し、有意な抗癌作用を確認した。今年度は、これらの薬剤添加後の遺伝子発現変化をマイクロアレイにより解析し、その結果を裏付けるため、northern法、リアルタイムRT-PCR法、western法によるmRNAや蛋白の発現を検討した。その結果、細胞周期・アポトーシス・分化・増殖・転写・シグナル伝達に関連した遺伝子の発現変化を認め、western法でそれらの蛋白発現の変化を確認した。
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