研究課題
遺伝子治療においては、通常は目的遺伝子が組み込まれた細胞のみが障害を受けるのであるが、時にこの組み込まれた周辺の細胞にも障害をおよぼすことがある。このことをバイスタンダー効果と言うが、このメカニズムの一つにギャップ結合を介した細胞間コミュニケーション(GJIC)が関与していることが知られている。本研究ではこのメカニズムの癌治療への応用を目指した。本研究によって、(1)少量のベクターで済むので副作用を最小限に抑えることが可能になる、(2)GJICは同種の細胞(癌細胞)にしか及ばないと言う性質があるので投与の仕方で治療の特異性を高めることが可能になる、などの問題が解決される可能性がある。平成23年度として、(1)子宮体癌および卵巣癌細胞を用いて実際にGJICがバイスタンダー効果に寄与しているかを確認する実験を行い、レチノイドの培養細胞への添加によってコネキシンmRNAの発現が上昇することをリアルタイムPCRによって確認した。(2)まだコネキシンの発現などが検討されていない卵巣癌についてこれを行い、卵巣癌細胞においてはコネキシン26と32が発現していることを確認した。我々のこれまでの研究では性ステロイドがGJICを制御することを報告してきた(3)レチノイドや性ステロイドなどを用いてin vitroおよびin vivoでGJICあるいはバイスタンダー効果を増強する方法の検討を行い、レチノイドがGJICの形成に促進的に働と同時に、レチノイドを加えた細胞ではHSV-tkとGCVを用いた系ではバイスタンダー効果が増強されることを証明した。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)
Exp Mol Pathol
巻: 92 ページ: 185-90
10.1016/j.yexmp.2011.10.002
Cancer Res
巻: 71 ページ: 7038-47
DOI:10.1158/0008-5472.CAN-11-1053
Oncol Rep
巻: 25 ページ: 41-7
10.3892/or_00001039
Cancer Lett
巻: 303 ページ: 65-71
10.1016/j.canlet.2011.01.019