研究概要 |
子宮体癌でEMTに影響を与える候補遺伝子としてMYEOVを選択し、MYEOV遺伝子の子宮体癌細胞株での機能解析を続行した。siRNAを用いてMYEOVの遺伝子発現をSNG-2で抑制し、3D-genechip(Toray)にて約27,000種の遺伝子の発現変化を検討した。MYEOV遺伝子を抑制したSNG2株とコントロール株のTotal RNA(0.5μg)を用いてRNAを増幅し、この増幅RNAをCyDyeによりそれぞれCy3とCy5で標識し、各1μgを混和して3D-gene chipでハイブリダイゼーションを行い、スキャナーを用いて数値化して遺伝子発現量を測定した。EMT関連分子を評価したところ、Snailは41%に低下し、ZEB1は約61%、E-cadherinは65%に発現が低下していたが、Vimentin、Twistに変化はなかった。この結果はq-PCRの結果と一致していた。 MYEOVがEMTに関連しているとすると、その発現は子宮体癌の浸潤・転移ひいては予後に影響を与えている可能性がある。子宮体癌患者検体45例を用いて、q-PCRでMYEOVの発現量を評価し、進行期・分化度・浸潤深度、リンパ節転移などの臨床病理学因子との相関を検討した。その結果、浸潤深度と有意な関連を認め、浸潤深度が筋層1/3以上ではそれ以下の浸潤に比べてMYEOVが有意に高発現していた。また、MYEOVの高発現群と低発現群の2群にわけて無病再発期間をKaplan-Meier法で検討したところ、高発現群では有意に再発率が高かった。 子宮頸癌におけるHOXD9の細胞機能に与える影響については、4種の子宮頸癌細胞株でHOXD9の発現抑制を行ったところ、細胞増殖が停止し、浸潤能・運動も認められなくなった。現在、HOXD9についても3D-gene chipによる遺伝子の網羅的発現解析を行っている。
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