研究課題
卵巣子宮内膜症、Atypical endometriosis(境界悪性腫瘍)、明細胞腺癌各々における腫瘍間質細胞から産生される生理活性物質に着目し、卵巣子宮内膜症からの発がんプロセスにおける責任分子を同定することを目的とした。1. 過去3年間の全手術症例から卵巣子宮内膜症、Atypical endometriosis、内膜症合併明細胞腺癌に合致する適格症例を各々5例ずつ集積した。2. 各症例のパラフィン封埋切片を用い顕微鏡下でLeica Microsystems社LMD6500を使用し、Microdissectionにより腫瘍間質組織を必要面積分採取した。採取量は約1から50mm^2を各々採取できた。3. QIAGEN社Qproteome FFPE Tissue 2D-PAGE Kitを用いてタンパクの抽出を試みた。1例あたり20μgのタンパクを抽出できることを確認できたが1例当たりのタンパク量が少ないため、以後、各疾患別に5例分を一括して使用した。4. 二次元電気泳動は島津テクノリサーチに依頼した。1)等電点電気泳動 : Immpbiline DryStrip gel(GEヘルスケア)を用い、PROTEAN IEF Cell(Bio-Rad) にて泳動を行った。2)二次元電気泳動 : PAA gradient gel(バイオクラフト)を用いて泳動を行った。3)Molecular Imager FX(Bio-Rad) を用いて画像を取得し、284のスポットを得た。次いで、PDQuest(BioRad) を用いて画像解析を行ったところ、2倍以上の増加を示したスポットを8か所確認できた。以上より、卵巣子宮内膜症、Atypical endometriosis(境界悪性腫瘍)、明細胞腺癌と進行するにつれ、2倍以上発現が増加するタンパクが腫瘍間質に存在することが確認できた。