研究課題/領域番号 |
21592154
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北原 糺 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30343255)
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研究分担者 |
川島 貴之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90437319)
土井 勝美 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (40243224)
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キーワード | 耳鳴動物モデル / 耳鳴分子マーカー / 逃避行動実験 / 侵害受容体 / TRPV1 / カプサゼピン / らせん神経節 / real-time PCR法 |
研究概要 |
[目的]我々はラットを用いた耳鳴動物モデルを考案するとともに、耳鳴を評価する分子マーカーとして聴覚伝導路における痛み受容体TRPV1の発現について検討した。 [方法並びに成績]低い壁で2部屋に仕切られたケージ内を防音室内に設置して条件付けを行った。ケージ天井のスピーカーから呈示音を5秒間発し、1秒後に底部金網に電気ショックを与えると、隣部屋へ移動する。これを繰り返すと、スピーカー音を聞くと電気ショックなしで隣部屋へ移動するようになる。これが目的行動であり、10回の実験中8回(80%)以上この行動が認められるようになればテストへうつる。テストでは条件付けされたサリチル酸(400mg/kg)を腹腔投与し、2時間後に同様の音呈示(10回)を行い、音に正しく反応して隣部屋に移動した回数(score)と無音状態で隣部屋に移動した回数(false positive)をそれぞれカウントした。サリチル酸投与2時間後、false positiveの有意な増加を認め、ラットに耳鳴が生じている可能性が考えられた。次にreal-time PCR法およびwestern blot法により、サリチル酸投与2時間後にラセン神経節におけるTRPV1発現の上昇が認められた。 [まとめ]サリチル酸投与ラットにおいて無音状態での反応行動が増加し、ラセン神経節におけるTRPV1の発現が上昇していた。またこれらの上昇はTRPV1拮抗剤カプサゼピン投与により抑制された。これらの結果から、サリチル酸投与により誘発される耳鳴には、聴覚伝導路におけるTRPV1の活性化が関与している可能性が示唆された。
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