メニエール病のめまい発作を誘発するモデル動物の作成に成功した。このモデルは、内リンパ嚢の機能障害を起こさせたモルモットに抗利尿ホルモンを投与するものである。組織学的には内リンパ水腫が形成されているが、内リンパ嚢機能障害もしくは抗利尿ホルモン投与単独と比べ、内リンパ水腫の程度が高度であった。さらに、内リンパ嚢機能障害もしくは抗利尿ホルモン投与単独では僅かに自発眼振を認める動物がいたが体平衡異常は認めなかった。新しいモデル動物では全例に自発眼振を認めるとともに体平衡異常も認めた。これらの結果からメニエール病の発作は、内リンパ嚢の機能障害に抗利尿ホルモンの異常高値が加わり引き起こされると考えられる。この新しいメニエール病モデル動物に抗利尿ホルモンV2R拮抗薬を投与することにより内リンパ水腫の軽減と自発眼振・体平衡異常の消失を認めた。このことは、抗利尿ホルモンV2R拮抗薬がメニエール病の新しい治療薬となる可能性を示唆する結果といえる。
|