研究課題/領域番号 |
21592165
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
山中 昇 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)
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研究分担者 |
藤原 啓次 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20244725)
田村 真司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10244724)
保冨 宗城 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90336892)
島田 純 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90326372)
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キーワード | 急性中耳炎 / ヒトBocaウイルス / 肺炎球菌 / ヒトメタニューモウイルス |
研究概要 |
急性中耳炎におけるウイルス感染および細菌感染の関与について、急性中耳炎患児の中耳貯留液あるいは鼻咽腔からのウイルスおよび細菌の検出を行うとともに、Multiplex PCR法によるウイルスおよび肺炎球菌血清型検出のためのプライマーおよび条件設定の検討を行った。急性中耳炎患児の鼻咽腔洗浄液および中耳貯留液からのウイルスおよび細菌の分離同定をPCR法(DNAウイルス)およびRT-PCR法(RNAウイルス)による検出を行った。目的とするウイルスは、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ヒトBocaウイルスを対象とした。今年度は近年報告された気道感染ウイルスであるヒトメタニューモウイルスおよびヒトBocaウイルスについてnested-PCR法により検討を行った。小児急性中耳炎患児179症例から得られた鼻咽腔スワブ179検体、中耳貯留液129検体について細菌およびウイルスを、従来の細菌培養法、PCR法により検討した。中耳貯留液からは細菌が69%に検出されたが、鼻咽腔からは98.3%と非常に高率に細菌が検出された。ウイルスは中耳貯留液の17.1%に、鼻咽腔において33%に検出された。ウイルスと細菌の検出様式では13.2%に両者が検出され(混合)、ウイルスのみ(単独)は3.9%であった。一方、鼻咽腔では32.4%が混合、0.6%がウイルス単独であった。ウイルスと細菌との関連をみると、ヒトBocaウイルス検出群では検出されなかった群と比較して有意に高率に肺炎球菌が検出されていた。同様にヒトBocaウイルス検出群でも検出されなかった群と比較して有意に高率に肺炎球菌が検出された。インフルエンザ菌やモラクセラ菌では同様の結果は見られず、また、他のウイルスでも特定の細菌との関連性は認めなかった。
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